閑話623・『くさくてうまい2』

「エルフを飼うんだったっ」


『え、思い出さなくて良いよォ』


どうして今の今まで忘れていたのだろう。


口にすると強い疑念と自覚が出て来る。


「エルフは飼うぜ」


先程エルフを食べたばかりなのに矛盾を吐き出す。


いいじゃん、犬でも猫でも飼う事も食う事も出来る。


『聞いたよ』


「聞いたなら協力しろよ」


『やだねェ』


「んなぁ?!」


『やだ』


「り、理由を言え」


『やだからやだ』


「――――――――」


あまりに短絡的な言葉にベッドの上で項垂れる。


「エルフは飼いやすくていいペットだぜ」


『臭いじゃん』


「……良い匂いだろ」


『エルフ臭いのはちょっと』


「嘘だろ」


『ご飯臭いペットってやだ』


素直に常識的な事を告げているつもりなんだけど。


どうだろう。


「うまそうで可愛い、お得じゃん」


『お得じゃねぇし』


「えぇぇ」


美味しくて可愛い。


お得だろうに。

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