閑話624・『懐く餌』

餌が甘えて来ても普通に食える?疑問が浮かぶ。


懐いた豚を殺して食えるのか、そりゃ殺して食いたくは無いけどさ。


食う。


「エルフも同じだぜ」


情緒教育?湖畔の街でキョウがそんな事を――――取り敢えず抵抗する。


俺の反論に目を瞬かせる。


「そもそもご飯に懐くも糞も無いでしょうに」


「いや、生き物だし、あるんじゃね」


「あったとしてもね」


「むぅ」


「そこは何も思わずに食べるようにならなきゃね」


指を立ててアドバイス、どんなアドバイスだ、つか情緒が何処にある。


エルフライダーの情緒ってこれか?


「食うのは、出来るし」


「でも懐いてたら?」


「出来るけど、やだし」


「そこが問題なんだけどなァ」


「何処も問題じゃないぜ」


「問題」


「うぅ」


「もっと冷徹だったのにねェ」


そうだったかな、でも懐く生き物に情を覚えるのは普通だろう。


犬とか。


猫とか。


人とか。


エルフとか。


「俺も懐く生き物なのかな」


「さあね、懐いても食べちゃうじゃん」


懐いても食べちゃうのと懐いても食べられちゃうの。


どっちがいいかな。

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