閑話595・『ころすじぶん2』

こっそりと宿を抜けて夜の世界に降り立つキョウ。


二階からジャンプ、衝撃は衝撃でしか無く、全身が震える、誤魔化すように伸び。


猫科の動物を連想させる、危機に関して敏感なのはまさに野生のソレ。


「しびれる」


『宿屋の息子さんに好かれたぐらいで逃げ出すなんて』


「部屋に来たらどうする、襲われるのも襲うのもやだ」


『あら、残念』


「残念も糞もねぇ」


顔は可愛かったけどね。


男の子に『戻って』るから関係ないか。


「うぷぷ」


『くぷぷ』


「わ、笑うな」


『じゃあ美少女とお話してる方が良いね』


「自分で言うな、お前も自分だけど」


『うへへ』


「ちっ」


『キョウも美少女だよ』


「だからって襲われるのは嫌だぜ」


身震いしながら夜の世界を歩くキョウ、森に入れば虫や獣の気配が蠢くのがわかる。


可愛い女の子の宿命だよォ。


「襲われたらブッコロス」


『あらら』


「でも可哀想だから半殺し」


『それもまた可哀想だね』


「じゃあ殺さん」


『優しいねェ』


「………キョウは優しく無いな」


『基本的に殺すね』


「……」


『基本的に』


血生臭い私。

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