閑話590・『すこしたりぬ』

自分自身を口説くのは嫌いでは無い。


しかし関係性が少し変わって恥じらいも覚えた。


「んだよォ」


『いや、どうやったら自然に口説けるかなァって』


「女が言う台詞じゃねぇぜ」


『あ、差別』


「区別」


『差別だよ、しかも自分も女の子だし』


「う」


『くふふふふ、反論来い来い』


「やんね」


青空の下で不貞腐れたように呟くキョウ、いや、実際に不貞腐れている。


頬が膨らんで異様に可愛い。


なにこの生き物。


『あら、可愛い』


「うるせぇーな、殴るぞ」


『自分を?痛いよ?』


「い、痛いのは困る」


『だよねェ』


「でもムカつく」


『だよねェ』


「うう」


どうしようもない状況下で項垂れるキョウ。


ちょい足りないのが可愛い。


結構足りない?


「………キョウだけを苦しませる方法」


『無いねェ』


「を一緒に考えてくれ」


『それこそ無いよ?!』


甘え癖を少し直そうか。

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