閑話543・『エルフ存在2』

許しを請うエルフがやがて捕食されるの事を望む様になる様を見たキョウ。


たったそれだけの事に動揺している、たったそれだけの事。


不安そうな顔で私に問い掛ける。


「食うのは楽しいけど食われるのも楽しいのかな」


「オイオイ、どうしたのォ」


「いや、エルフって食われると楽しそうじゃん」


「そりゃまあ、そーゆーものだし」


「食うのは楽しい、食われるのは?」


「楽しく無いと思うよォ、痛いだけ」


「そう、かな」


「そうだよ」


「でも嬉しそうだぜ?」


事実として恍惚とした表情で自らを差し出すエルフを何人も見て来たキョウ。


捕食時にその表情は最大の悦に染まる、あれに申し訳無さを覚える?


冗談。


「そりゃ、食われる為に生きてるんだもの」


「俺は?」


「食べる為に生きてるんでしょう?」


「俺だけ?」


「そう」


「………」


真理を前に口を紡ぐ。


何も言え無いでしょうに。


「エルフだけ食われるのは可哀想だぜ」


「その為の生き物」


「それを食うのが俺?」


「その為の生き物」


「うぅ」


「その為の私」


貴方の為にエルフを都合する。

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