閑話542・『エルフ存在』
許しを請うエルフがやがて捕食されるの事を望む様になる様を見た。
驚きも何も無い、両者の関係を考えたらそれは当たり前の事だ、当たり前。
当たり前ってなぁに。
「食うのは楽しいけど食われるのも楽しいのかな」
「オイオイ、どうしたのォ」
「いや、エルフって食われると楽しそうじゃん」
「そりゃまあ、そーゆーものだし」
「食うのは楽しい、食われるのは?」
「楽しく無いと思うよォ、痛いだけ」
「そう、かな」
「そうだよ」
「でも嬉しそうだぜ?」
事実として恍惚とした表情で自らを差し出すエルフを何人も見て来た。
捕食時にその表情は最大の悦に染まる、経験として俺の中にある事情、故に知りたい。
「そりゃ、食われる為に生きてるんだもの」
「俺は?」
「食べる為に生きてるんでしょう?」
「俺だけ?」
「そう」
「………」
理不尽を前に口を紡ぐ。
俺だけの資格なんていらない。
「エルフだけ食われるのは可哀想だぜ」
「その為の生き物」
「それを食うのが俺?」
「その為の生き物」
「うぅ」
「その為の私」
そんなのいやだぜ。
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