閑話539・『抱き付き魔王』
御し難い感情が自身にある事は知っている、自分自身を他者より愛する無意味も理解している。
理解しているから理解出来るはずも無く、矛盾を抱えたまま自分に接する。
「つまりナルシスだろ」
「そうだね」
「……俺を抱き枕にしている時点でナルシスだぜっ」
「そうだねっ!」
「………あ、暑いから離れてくんないか?」
「やぁだ」
「………うぅ」
「一つなんだから密着してても問題無いでしょう?」
「暑いぜェ」
「問題無いねェ」
「問題しか無いぜェ」
「んふふふ」
「き、キョウ」
「キョウは貴方でしょう」
「キョウはお前だろ」
「「キョウ」」
互いに呼び合えば他者として認識も出来る、しかし結局は一人の人格。
あまりに無意味であまりに自慰的な行為。
でも好きなモノは仕方無い。
どうしようも無い。
「抱き付くな、うっとおしいぜ」
「嬉しい癖に」
「暑いって言ってるよな!?」
「聞こえない」
「……好きにしろ」
細くて頼り無い背中、女の子の背中。
キョウの背中。
「好きにするよォ」
何時だって。
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