閑話540・『抱き付き魔王2』
愛してると言われても大好きだと言われても返すべき言葉が一つだけ。
だからなるべく冷たく答える。
「つまりナルシスだろ」
「そうだね」
「……俺を抱き枕にしている時点でナルシスだぜっ」
「そうだねっ!」
「………あ、暑いから離れてくんないか?」
「やぁだ」
「………うぅ」
「一つなんだから密着してても問題無いでしょう?」
「暑いぜェ」
「問題無いねェ」
「問題しか無いぜェ」
「んふふふ」
「き、キョウ」
「キョウは貴方でしょう」
「キョウはお前だろ」
「「キョウ」」
互いに呼び合えば他者として認識も出来る、しかし結局は一人の人格。
あまりに無意味であまりに自慰的な行為、でも好きなモノは仕方無い?どうしようも無い。
どうしようもない一人。
「抱き付くな、うっとおしいぜ」
「嬉しい癖に」
「暑いって言ってるよな!?」
「聞こえない」
「……好きにしろ」
我儘な女だぜ。
我儘な私だぜ。
―――俺だ。
「好きにするよォ」
何時だって。
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