閑話537・『食べたいのん2』

筆を走らせるの楽しいぜ。


「みみまるとみみとがり以外の耳ってある?」


「ドワーフの耳は丸くて大きいけど……いきなりどうしたのォ?」


「メモメモ」


「?」


「食べたいものメモ」


「ちょっと見せてェ」


「ああああ」


広げたソレを一瞬で奪い取るキョウ、ノートの内容は将来的に食べたいものを綴ったもの。


キョウはそれに目を通して溜息を吐き出す。


大きな溜息。


「グロイ」


「うぅ」


「キモイ」


「うぅう」


「………巨大なムカデ?」


「サソリは美味しかったからな」


「一応過去の経験から割り出してるのかァ」


「うん」


褒めてくれるのかと期待するがキョウは呆れた表情でノートを左右に振る。


ん?


「これは没収します」


「いいぞ」


「…………え」


「キョウも食べたいんだろ?ふふ、食いしん坊だぜ」


「う」


「食いしん坊だぜ」


自分も食べたくなったのなら素直にそう言えば良い。


「それでいいよ」


「ドワーフの耳でいいのか?」


美味しいゾ。

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