閑話515・『耳丸エルフ』

「えるふはうまいー」


「はいはい」


「にんげんまじゅいー」


「はいは、え?」


「みみまる美味しいーー」


「待て」


「あん?」


小高い丘の上で意味の無い歌を作詞作曲俺で歌っていたら真剣な顔をしたキョウに止められる。


な、なんだろ。


「もう一回―――お願い」


「今の歌か?」


「そう」


「こほん、えるふはうまいー」


「うん」


「にんげんまじゅいー」


「うん?」


「みみまる美味しいーー」


「ううん?!」


「な、何だぜ」


肩を掴まれて歌を強制的に止められる、まだまだ続きがあるのに何なんだぜ?


整ったキョウの顔が妙に怖く感じられる。


「人間はまずいんだよね」


「そりゃそうだ」


「みみまるは?」


「?美味しいぜ」


「―――――――」


「人間とみみまるは違うだろ?」


「き、キョウ」


「耳が尖ったエルフがみみとがり、耳が丸い『エルフ』がみみまるだぜ」


「………そ、そこから」


どこから?

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