閑話514・『ほれまけ2』

どうしうようもない、お腹が空いた、ベッドの上で丸まって舌打ち。


現実世界では真夜中なのでそれまでお腹を抱えて湖畔の街で不貞腐れている。


ぐるるるるるるる、喉の音。


ぎゅるるるるるるる、お腹の音。


うううううううううう、心の声。


キョウが覗き込んでくる。


「獣だ、畜生だ」


「うっさいぜ」


「近くにエルフの気配もあるんだから我慢なさい」


「うっさいぜ」


「う」


「うっさいぜ」


「こ、この子は」


「うぁぁん、お腹減ったああああ」


腕を掴んでキョウを引きずり込む、柔らかい、良い匂い、可愛い。


うへへ。


「キョウ、キョウ、キョウ」


「うぅう」


「お腹減ったぁ」


「うぅううう」


「しゅきー」


「…………さ、さっきまでの誓いが」


抱き枕にする、お腹は減ってるけど心は満たされる。


「お腹減ったのでキョウで妥協する」


「酷いね」


「でも嬉しいだろ」


「まあね」


「顔赤いし」


「ま、まあね」


「べた惚れじゃん、ぷぷ」


笑った。

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