閑話493・『おへそで赤ちゃん』
「人間じゃ消化が早過ぎてエルフを捕らえるまでの繋ぎにならないねェ」
「あん?」
湖畔の街で土いじりをしていたら突然そんな事を告げられて首を傾げる。
人間を食った覚えは無い、冗談にしてはやや悪意があり過ぎる。
エルフは食うけどさ。
「人間は食わないぜ」
「食べてたよ」
「食べて無いって」
「集落三つ分、そのぺちゃんこのお腹の中」
立ち上がるとキョウの指が俺のお腹の上を這うようにして蠢く。
「ぺちゃんこだから食って無いって」
「もう消化しちゃったんだよ」
「そんなわけないだろ、そんなに大量に食って」
「また信用してくれないのォ」
「…………う」
「信用」
「信じてるけど実際問題……ぺちゃんこだし」
「えい」
服の上からお臍をグリグリされる、奇妙な疼く感覚に口元を押さえる。
吐きそうになる。
「ほらぁ、食べ過ぎじゃん」
「や、やめれ」
「やめない」
「けぷぷ」
「吐きそうになってる」
「や、やめろ」
「吐いたら中身がわかる、人間食べたって」
「ひぃ」
手を振り払って転がるようにして逃げる。
危ねぇ。
「赤ちゃん産めなくなるだろう!」
「――――それは無い」
そ、そうなのか?
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