閑話494・『おへそで赤ちゃん2』

「人間じゃ消化が早過ぎてエルフを捕らえるまでの繋ぎにならないねェ」


「あん?」


湖畔の街で土いじりをしているキョウ、背中越しに現実を告げる。


振り向いて目を瞬かせる様はあまりに無垢だ。


お腹の中は人間の死体。


「人間は食わないぜ」


「食べてたよ」


「食べて無いって」


「集落三つ分、そのぺちゃんこのお腹の中」


立ち上がったキョウのお腹の上をなじるようにして指で撫でる。


指で愛でる。


「ぺちゃんこだから食って無いって」


「もう消化しちゃったんだよ」


「そんなわけないだろ、そんなに大量に食って」


「また信用してくれないのォ」


「…………う」


「信用」


「信じてるけど実際問題……ぺちゃんこだし」


「えい」


服の上からお臍を抉るようにして虐める。


「ほらぁ、食べ過ぎじゃん」


「や、やめれ」


「やめない」


「けぷぷ」


「吐きそうになってる」


「や、やめろ」


「吐いたら中身がわかる、人間食べたって」


「ひぃ」


手を振り払って転がるようにして逃げるキョウ。


ふふ。


「赤ちゃん産めなくなるだろう!」


「――――それは無い」


私が産んでもいいしね。

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