閑話471・『皮本体2』

キョウの唸り声と血の臭い、木々が瘴気に飲まれて苦しそう。


葉が枯れるのではなく腐って落ちる。


「うぅうううううぅううううううう」


『――――困った』


「うるさいうるさいうるさいうるさい」


『はいはい、今日は何を掴んだ?』


「うるさいうるさいうるさいうるさい」


『言わないとわからないよ?』


目の前には柘榴が弾けたような奇妙な物体が蠢いている、エルフの内側、弾けて消えた。


キョウが望んだから『生きている』エルフがそこにある、しかし生きているだけだ。


やがて死ぬ。


「あははは、皮だけ、それだけ、それ以外全部残して逃げた」


『へぇ』


「文句あるのか?」


『ふふふふ』


「ほら、あれ、うん……中身だけ全部残して逃げたんだぜ」


『そんな事が出来るの?』


「出来るさ」


『いやいや、エルフは死んじゃうんじゃない?』


「バカを言え」


蠢いている、どんな原理かわから無いけど生きている、まだ――――キョウが望んだから?


心臓を無造作に掴んでキョウは薄く笑う。


「生きてる、生きてるけど本体の皮が」


『ぷぷ、皮が本体?』


「逃げた方が本体だろ?」


『そーだね、その通りだ』


「捕まえないと……風に身を任せて飛んで行ったかな」


『じゃあここにある『トカゲの尻尾』は置いてくんだ』


「そうだな、皮を追わないと」


『ぷふ』


どんどん酷くなってるよ。

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