閑話470・『皮本体』
エルフはすぐにいなくなる、片腕残して、頭部を残して、追いかけっこ?
どうして俺の傍からいなくなる?
「うぅうううううぅううううううう」
『――――困った』
「うるさいうるさいうるさいうるさい」
『はいはい、今日は何を掴んだ?』
「うるさいうるさいうるさいうるさい」
『言わないとわからないよ?』
響きは何処までも優しく、ささくれ立った心を僅かに癒す。
目の前には柘榴が弾けたような奇妙な物体が蠢いている、エルフの内側、弾けて消えた。
皮は何処に逃げたのだろう。
「あははは、皮だけ、それだけ、それ以外全部残して逃げた」
『へぇ』
「文句あるのか?」
『ふふふふ』
「ほら、あれ、うん……中身だけ全部残して逃げたんだぜ」
『そんな事が出来るの?』
「出来るさ」
『いやいや、エルフは死んじゃうんじゃない?』
「バカを言え」
蠢いている、どんな原理かわから無いけど生きている、まだ――――俺が望んだから?
取り出す、心臓、心の臓――――掴む、鼓動を感じる。
「生きてる、生きてるけど本体の皮が」
『ぷぷ、皮が本体?』
「逃げた方が本体だろ?」
『そーだね、その通りだ』
「捕まえないと……風に身を任せて飛んで行ったかな」
『じゃあここにある『トカゲの尻尾』は置いてくんだ』
「そうだな、皮を追わないと」
『ぷふ』
何がおかしい?
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