閑話468・『頭部成功』

「どうだ、文句ねぇだろ」


『………確かに成長したねェ』


「やったぜー、褒められた!」


『う…ん、成長、成長のはずなんだけどねェ』


頭部だけ残している、以前の片腕だけのアレと比較したら確かに成長と言える。


しかし生きたままエルフを捕獲する難題を乗り越えたわけでも無く、どうすれば良いのか途方に暮れる。


以前より確実に進歩している、しかし死んでいる、しかも食べ残し……食べ残しのクオリティが上がる事と生死の有無は関係無い。


「わはははは、生きたままのエルフももうすぐだぜ」


『生きたままのでは無く、生きたエルフね、もうその字面でおかしいよ』


「?」


『生死の有無がキョウの中では曖昧なんだね』


「腕よりお洒落、ほら、木の根に置くと……お洒落」


『………中々におぞましいね』


「しかし頭部だけ引き千切るなんて俺も器用になったもんだ」


『頭部だけ食べ残したんだけどねェ』


「いや、頭部だけ残して逃げたんだぜ」


『……エルフは頭が取れると死にます』


「何処に逃げたんだろう」


『……お腹、お腹だよォ』


「いや、これはお腹じゃ無くて頭部だ、なぁんだ、次は腹部がご所望か?」


『エルフは腹部もぎ取られても死にますっ』


「次になればわかるさ」


『て、展開が見える』


「………もぐもぐ」


『うわぁあああああああ』


「うるせーな、どうしたよ」」


呆れたように口にするキョウ、呆れよりも今現在その口にしているものが問題。


頭部っ。


「あれ、頭部消えたぜ」


『………』


どうしよう。

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