閑話466・『片腕きえるんです』

「今度はこれだけ残したぜ」


『偉い……えらい?偉いかなぁ、コレ』


「あははは、進歩だろ、これだけ引き千切れたんだ、本体は逃げたけど」


『あははは、勘違いだァ』


目の前には土煙色の片腕が一つ、腕の数え方って一つ?一個?一本?わからないねェ。


しかもキョウは本体は逃げたとかわけわからない事を言ってるし、本体は食べたよ、うん。


食べかす。


「これだけ捕まえれたのは進歩だぜ」


『いや、お腹一杯で残したんだよ』


「何を言ってるんだお前」


『………』


「俺が頑張って捕まえたんだぜ?」


『………』


「嫉妬は見苦しいぜ」


『………ドツきたいよォ』


「何故だ」


そもそも食べてしまった事をすぐに忘れてしまう仕様なので説明のしようが無い、キョウは呑気に鼻歌をしながら片腕をぶん回している。


森の中だから良いけどね、いや。


良く無いよォ。


「何処に逃げたかなー」


『お腹の中だよ』


「あははははは」


『真面目に聞こうねェ』


「何処だぜー」


『…………はぁ』


「もぐもぐ、ん?片腕も無くなったぜ?!」


『……』


「謎だぜ」


『……そーだね』


息をするように飲み込んだ。


怖いよォ。

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