閑話465・『逃げ道は食道2』

「何故だ」


『そりゃこっちの台詞だよ』


エルフを捕獲した、小さくて飼いやすそうで無垢なエルフ。


育てるにはこのぐらいが―――美味しそうだった、美味そうだった。


飼う、食う、飼う、ははははは、飼うんだぜ?


なのに気付けば消えてしまった。


「どうしてだ、どうして―――捕獲した所まで覚えてる」


『うん』


「気付けば血の一滴も無く消滅してるぜ」


『気付けば……ねェ』


そう、まるで魔法だ……一瞬でエルフが消える、恐ろしい現象。


特殊な能力でも持っていたのかな?取り敢えず追わないと。


追わないと飼えない。


「何だろう、何処に逃げたんだろう」


『はぁ?』


「まだここ等辺にいるのかな」


『き、キョウ?』


「遠くまで逃げて無いと良いけど」


『あーーー』


間延びしたキョウの声、どうしたんだろう?


暫くの静寂、なんだか気まずい空気。


どうして?


『キョウのお腹の中にいるよ』


「え……そんな所まで逃げたのか?」


『え、逃げたわけじゃ無いよ』


俺の体内に『逃げたの』かぁ、それじゃあ手出し出来ない。


消化されるまで待つか?キョウの言葉は意味不明だ。


お腹の中にいるんならそれしか――。


「でもお腹の中にいるんだろ?」


『そうだよ、その通りだよ』


「………まさかここに逃げるとは……手も足も出ないぜ」


『―――何処から説明しよう』


全部聞いたぜ?

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