閑話464・『逃げ道は食道』

「何故だ」


『そりゃこっちの台詞だよ』


エルフを捕獲したいと自分で言ったのにエルフを捕獲出来ずに捕食した、捕獲と捕食、似ているが意味合いは全く違う。


呆然としているキョウより呆然としている私、まさかここまでとは思わなかったよォ。


飼うの無理じゃない?


食べちゃうもん。


「どうしてだ、どうして―――捕獲した所まで覚えてる」


『うん』


「気付けば血の一滴も無く消滅してるぜ」


『気付けば……ねェ』


あれだけ派手に襲い掛かって気付けばも糞も無い、エルフを捕獲するまでは良いけどその後の我慢が出来無い。


ウサギに草を食うのを止めろと言う様なモノだ。


エルフライダーの主食はエルフ。


止める手立ては?


「何だろう、何処に逃げたんだろう」


『はぁ?』


「まだここ等辺にいるのかな」


『き、キョウ?』


「遠くまで逃げて無いと良いけど」


『あーーー』


お腹の中です、ちゃんとお腹の中にいます。


ちゃんとお伝えしよう。


『キョウのお腹の中にいるよ』


「え……そんな所まで逃げたのか?」


『え、逃げたわけじゃ無いよ』


逃げたのでは無く逃げれなかったから御覧の有様なのだけど。


「でもお腹の中にいるんだろ?」


『そうだよ、その通りだよ』


「………まさかここに逃げるとは……手も足も出ないぜ」


『―――何処から説明しよう』


難しいよね?

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