閑話463・『悪いのはどっちも、太もも削ぎ2』

街を歩きながら飼育小屋を探すキョウ、鼻歌混じりで楽しそうだけど妙に早歩き、急いでいる?


追い掛けながら息を整える、ようやく手を伸ばしてキョウを掴まえる。


はぁ。


「キョウ、ちょっと、歩くの速いっ」


「おぉ?」


驚いた様子で振り向くキョウ、何処か虚ろとした佇まい―――スイッチ僅かに入ってるなァ。


困った。


「そんなに急がなくてもエルフは逃げないよ」


「いや、逃げるだろ、足あるし」


「も、もう、どうしてそうやって―――」


「太ももを削ぎ落として歩けなくしようぜ」


「り、リアル」


「リアエルフ」


「………太ももを削ぎ落とされたエルフをそう呼称するのォ?」


「太ももを削ぎ落とされたエルフをそう呼称するぜ」


「……響きだけ聞くと何だか満たされてる感じなのに」


「満たされてる以前に欠けてるぜ、太もも」


「う、うん」


またおかしな事を言い始めた、しかし能力に酔っているので仕方無い。


これが本来の姿、なので仕方無く折れる。


「わかったよォ、うぅ」


「どうした、どうして涙目になる」


「いや、わ、私が悪いんだよ、キョウが頭悪いの忘れてた」


「二人とも悪いのか?!」


「そうだね」


「………キョウは頭良いだろう?」


「でもね、失敗ばかりだよ」


「太ももの削ぎ方、失敗しないようにするには」


「もういいよ?!」


聞きたくない。

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