閑話454・『腐り方を選べ』

どうしようも無い衝動で後悔するのは何時もの事で、どうしようもない衝動に負けるひ弱な理性も何時もの事だ。


欠伸を噛み殺して死体の山で眠る、どうして殺したのか前後すら不明な、ふふ。


どうして殺すのに理由がいるのか?答えは簡単だ、物凄く簡単。


殺した理由がわからないと不安だからだ、それだけの事。


それだけ。


「死体の山はあたたかい」


『まあ、そのうち冷たくなるよ』


「?ならないぜ」


『なるよ?!』


「うう、五月蠅いなぁ、あ、蠅だ」


『蠅が二匹だね』


「?一匹だぜ」


『ふふふふふ、おバカさん』


「な、何だぜ」


『おバカさん』


「二度も言うなっ、美味しい美味しい」


そこら辺に転がっている死体は全て食える、エルフの死体だしなァ、どれだけ腐敗しようと問題無い。


腐肉食のエルフライダー、地味に強い、地味に飢餓に強い。


『腐った肉でも平気なのは良い事だねェ』


「腐ったエルフの方が美味しい」


『ほほう』


「なんつーか美味しい」


『理由は?』


「?新鮮さは無いけど味はこっちの方が深みがある」


『成る程、獣もエルフも変わら無いねェ』


「うん」


味を選ぶか新鮮さを選ぶか、捕食者の自由だ。


選ぶ権利がある。


『でも獣よりエルフの方が美味しいでしょう?』


「そりゃもう」


当たり前だぜ。

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