閑話437・『だきょうえるふ2』

「妥協案」


「………キクタっ」


「妥協案じゃないよねソレ、打開案だよね」


「?」


「通しません」


あれから何度か会話を重ねたが俺の意見が通ることは無くどちらかが折れるまでの―――最悪の流れ。


エルフにキクタは常識だろう、あまり奇抜な方に行こうとするんじゃないぜ。


キクタ以外のエルフは餌だからキクタにしないと。


しないと。


「エルフはキクタって決まりだろ」


「謝ろうね、キクタ以外のエルフに」


「キクタ以外のエルフはキクタだろ」


「――――愛され過ぎだろ、あいつ」


「キョウ、口調が下品だぜ」


「嫉妬もするよォ」


「ふーん」


「嫉妬もするよォ」


「いてててててて」


頭をポカポカ叩くキョウ、手負いの獣の気持ちを味わいつつ隅へと移動する。


ポンコツだけど叩いても良くならないぜ?


「こんなに可愛い俺に――――これ以上バカになったらどうするんだぜ」


「一生面倒みます」


「す、素敵、いや、怖いっ」


「そこは素直に喜びなよ」


「名前はキクタ以外やだ」


「………」


「エルフはキクタと昔から決まってるぜ」


「それじゃあキクタに許可を貰って来なァ」


「え」


お、怒られそうだからやだ。

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