閑話425・『建てるのたてない2』

ぐでーーー、地面に寝転びながら今後の事を考える、この場所にアレを建てないと駄目だ、絶対にダメだ。


小屋が壊れた場所に寝転んで草花の匂いを嗅いでいる、だけど体が動かない、怠惰と諦めがやや胸中に残っている。


建てたよな、うう、前に。


キョウがやって来る。


「くすんくすん」


「……寝転ぶのは止めようねェ、洗濯するのは私だし」


「この場所は水が豊潤だから良いだろっ」


「そーゆー問題では無いよねェ」


「そーゆー問題だろ?」


「違うよねェ」


「また小屋建てようかな」


「何の為に?」


「え」


「建てる意味はァ?」


「な、なんだっけ」


問われてその意味に気付く、俺はそもそもどうして建てようとしているんだろう。


ここで飼いたい、ざーざーざー、かいたい。


かいたい。


「わ、わかんないけど、小屋を建てないと駄目なんだ」


「そんな事無いよォ」


必死に両手を振りながら想いを伝えるがキョウは冷たい瞳のまま相槌も無しに見詰めている。


そして切り落とす。


「建てたらダメ」


「どうしてキョウがそんな事を決めるんだ?」


「どうしてキョウが建てる事を勝手に決めるのォ?」


「あ」


「生意気言うなァ」


小さな鼻を指先でつまんで来る。


あう。


「建てたらだぁめ」


なんで。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る