閑話424・『建てるのたてない』

ぐでー、キョウが伸びている、勿論物理的に伸びているわけでは無い。


小屋が壊れた場所に寝転んで草花の匂いを嗅いでいる、しかも涙目、このまま流して散歩したい。


無論そのようなわけには行かない。


「くすんくすん」


「……寝転ぶのは止めようねェ、洗濯するのは私だし」


「この場所は水が豊潤だから良いだろっ」


「そーゆー問題では無いよねェ」


「そーゆー問題だろ?」


「違うよねェ」


「また小屋建てようかな」


「何の為に?」


「え」


「建てる意味はァ?」


「な、なんだっけ」


エルフを飼ってエルフの生態を知って自分自身をどうにかしたい、エルフライダーの思考では無く人間の思考だねェ。


しかしそれをするわけには行かない、させるわけには行かない、エルフライダーはエルフを気にせずに捕食するからこそ健康体。


人間の浅知恵はいらない。


「わ、わかんないけど、小屋を建てないと駄目なんだ」


「そんな事無いよォ」


必死に両手を振りながら想いを伝えて来るが適当に聞き流す、その想いは無駄な想いだもの。


キクタだけでは無くエルフ全体を知りたいだなんて。


認めるわけが無い。


「建てたらダメ」


「どうしてキョウがそんな事を決めるんだ?」


「どうしてキョウが建てる事を勝手に決めるのォ?」


「あ」


「生意気言うなァ」


小さな鼻を指先でつまんで黙らせる。


うふふ。


「建てたらだぁめ」


駄目。

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