閑話420・『はらのおとのうりょく』

ぐきゅるるるるるるるうるうるるううううううううううううううううううう。


お腹が鳴る音にしては轟音であり世界を畏怖させるような独特のソレがある、キョウはえへへとお腹を擦る。


あのまま二人で眠ってしまった、湖畔の街から『起きたら』餌がいるなと心の中で呟く。


「えへへ」


「育ち盛りだ」


「キョウよりおっぱい大きくなるぜ」


「まあ、体は一つだから成長は同じだよ」


「……小さい胸と大きい胸を両方楽しもうと思ったのに」


「それは残念だねェ」


「うん」


ぐきゅるるるるるるるうるうるるううううううううううううううううううう。


ぐきゅるるるるるるるうるうるるううううううううううううううううううう。


ぐきゅるるるるるるるうるうるるううううううううううううううううううう。


ぐきゅるるるるるるるうるうるるううううううううううううううううううう。


ぐきゅるるるるるるるうるうるるううううううううううううううううううう。


「えへへ」


「か、可愛くしても空腹さが伝わって来るよォ、エルフ食べたいの?」


「お?」


ベッドの上で上半身だけ起こしてキョウは笑う、エルフが聞けば耳が蕩けて零れる音。


その奥にあるものを支配してしまう、耳の奥の奥の奥。


エルフライダーの能力。


「お腹を鳴らすだけでエルフを引き寄せるんだもんねェ」


「あつまれみんな大集合」


「た、食べられる為にねェ」


「こっちの水はあーまいぞー」


「しかし凄い音だねェ」


「…………育ち盛りだからな、にやり」


「こりゃあっちの世界に戻ったら大変だねェ」


主にエルフが……ご愁傷さま。


ふふ。

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