閑話417・『あくおらず2』

おれをきずつけるやつはきらい。


おれをきずつけないやつもきらい。


あくがすき。


「しねしねしね」


「ごめんなさい」


おなじかおをしているふとがあやまる。


べっどのうえはふわふわ、こころはとげとげ。


あっちいけ、あくがほしい。


「しねしねしね、きらい」


「キョウ」


「ちかづくなァ」


「キョウ」


「うぅ、あく」


「そこら辺まで遡ってるか」


「あくあく」


もとめるけどいつものようにへんじはなく、だれもいない。


おれしかいない、こいつはおれだからふたりでいてもさみしい。


あく。


「あく」


「そうだね、彼女がいたら良いね」


「う、ん」


「私では、ダメ?同じキョウだよォ」


「うぃ」


じーっと、みつめる、こいつでだきょうする。


いつもひとりだから、むかしから、こいつしかいない。


こいつがいてくれる。


「………しねぇ」


「ふふ」


だきつくとせなかをたたいてくれる。


もっとしろばか。

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