閑話414・『ベッド崖』

このパターンは珍しい、俺が不貞腐れてベッドで丸まるのは良くある事だ。


しかしキョウが丸まるのは珍しい、立場が逆転したようでやや戸惑う、ベッドに腰を下ろす。


えーっと。


「ご機嫌はどうだ」


「去れ」


口調が変わっているし、そもそも怒っている原因が全くの不明だ、性格が悪いキョウがここまで落ち込むなんて何があったのだろうか?


性格の悪いキョウが心配だぜ。


性格が悪い。


兎に角。


「キョウ、何を怒っているんだぜ?」


「んふ」


「いたたたたたたっ」


太ももを捩じるようにして指先で虐める、俺は涙目になってベッドからずり落ちる。


見下すキョウの視線が何とも言えない、ベッドの端までイモ虫のように移動して顔だけ出して見下す。


性格が悪いから見下すの似合ってる。


性格が良い俺は見上げるの似合ってる?


「キョウ、可愛い」


「いてて」


「もうベッドに上がって来ないでねェ」


「あん?」


「そうやってあんあん喘がられたら五月蠅くて眠れないから、ぷふふ」


「こ、これは悪態の方の」


「上がって来るな」


「う」


「来るな」


睨まれる、ここまで怒らせる原因がさっぱりだぜ、意味不明だぜ。


うぅ。


「うぅ、ぐす」


「あ」


「うあああああああああああああああ、バーカ、バーカ!上がらねぇよボケェ」


「ぁぁ、ご、ごめ」


「死ねっ」


割と酷い俺だった。

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