閑話411・『くしゃみげぷぷ』

どうしようもないどうしようもないどうしようもないどうしようもない。


忘れる事はどうしようもない。


忘れるのに特化した生き物。


だからね。


「え、食って無いぜ」


『食べたよォ』


「でもお腹もペッタンコだもん」


『そ、それは消化したから』


「集落一つ分のエルフがそんなに早く消化するわけねぇだろ」


『あ、あるんだよォ』


だって貴方はそーゆー生き物だから……半日前にあれだけ食べてまたお腹が空いたと言い出した。


餌やり係の頑張りのお陰で最近はエルフの住処をすぐに発見出来る、舌をチロチロさせてエルフの匂いを追う爬虫類。


役立たずな癖して役に立つのは不快。


「けぷぷ」


『し、証拠だ、それ証拠だよォ』


「?美少女のゲップだぜ」


『前半いらないっ、後半重要だよ』


「?」


『食べ過ぎの証拠っ』


「あははははは、誰か噂してるんだろう」


『それはくしゃみっ、キョウのおバカっ』


「くしゅん、ずず、誰か噂してるぜ」


『私が噂してるんだよォ』


「?」


『うぅ』


「変な奴」


『おバカおバカ』


「お腹空いた」


『おバカぁ』


「エルフ食うぜ」


駄目だ、この子には何を言っても無駄だ。

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