閑話407・『チキンスライス』

蹴るのだ、生きてるかどうかわからないから蹴るのだ、蹴って動けば生きているので殺すのだ。


おむつ的にどうなのか、そんな思考をしながらキョウは一つ一つ死体を丁寧に蹴ってゆく、まさか集落一つが『自殺』するだなんて。


それは餌として望まれたからだ。


「ひくわぁ」


『そりゃね』


「ひくわぁ、ひくわぁ、ひくわぁ」


『全部死んでるって』


「アホか、生きてて襲われたら怖いだろ、乙女だぞこちとら」


『アホ』


「ああん?」


『襲って来たら食べれば良いじゃん』


「バカだなぁ」


『?』


「そんなゾンビみたいなの食いたく無いぜ」


『へ、へえ』


何時もゾンビみたいに復活する自分の事は?しかしそれを言葉にすれば一気に不貞腐れそうなので黙って置く。


変な所でチキンなのは誰の細胞のせいだろうか?


部下子だけの時は凛々しかったのに。


まあ、可愛いから良いか。


「つんつん」


『ビビり』


「オラァ」


『ひくよ』


「き、キョウがビビりって言うからァ」


『いや、ひくよ』


男は蹴っても良いけどねェ。


んふふ。


「つんつんとオラァを交互にしようか?」


『つんつんだけで良いよォ』


生死の二択で不運に選ばれたのに死んでまでそんな二択可哀想だよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る