閑話405・『死体を蹴る爪先には』
餌にして下さいと言われた時にキョウは呆けて返事が出来無かった。
狂信的な一部ならポンコツ鼻血シスターやらエロエロ神獣やらのんびりゴーレム使いやら多数抱えている。
しかし餌にそのような事を言われると意味がわからずに硬直する、野生の欠片も無い停滞、瞬間サビだらけのナイフで首を切り裂いた。
エルフ本人がそれをしたのだ。
伸びる筋肉の繊維。
つぷ、弾ける。
「血のシャワーだ」
『これはおもしろ痛快』
「そうか、寒かったから丁度いい」
『そうだね、懐炉になるね』
「ああ、餌だけかと思ったら懐炉にも、結局は消耗品だぜ」
『結局は消耗品、餌だろうが懐炉だろうがねェ』
「そう、なのか」
『そうなんです』
「えい」
死体になったエルフ君、既に死後硬直が始まっている、それを爪先で蹴飛ばしながら困惑するキョウ。
まさか旅人のエルフにいきなり『自殺』されるとは思わなかった、インパクト大、エルフは死後硬直。
キョウは単なる硬直。
生前硬直。
んん?
「えいえいえい」
『食べモノは粗末にしない』
「いや、生きてて襲って来たら怖いじゃん」
『死後硬直してるよォ』
「男だ、硬直させる事は得意だろ、罠かもしれん」
『――――――――』
「女の子だからな俺、襲われたら大変だ」
『下ネタ言う癖に』
「う」
『死体を蹴る女の子なんて女の子じゃありません』
「う」
説教した。
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