閑話404・『もごもごん2』

ぶつぶつぶつぶつ、愛を囁く。


夜の世界でエルフを求める。


小屋に入れるエルフを求める。


「ぶつぶつぶつぶつ」


「あらら」


俺と同じ顔、それが寄って来る、観察して来る。


キョウは小屋には入れない、エルフじゃないから入れない。


「ぶつぶつぶつぶつ」


「何を言ってるんだろう?」


家の片隅でぶつぶつと座り込みながら呟く、ああ、小屋は完成した、残骸だけど完成した、きっと完成した、したはず。


キョウが聞いていようが聞いていまいが関係無い。


来い、小屋あるよ。


麻袋の中に。


お前の家。


「なになに?」


「キクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタ」


「聞かなきゃ良かったよォ」


「キクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタ」


「近い近い」


近付いて来た自分を捕獲して要求する。


持って来い。


キクタ。


「うるさい」


「むごぉ」


口を手で覆い隠される。


苦しい。


「むごごごごごごごごごごご」


「……」


「うごごご」


「……」


「んご」


「…」


し、死ぬ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る