閑話403・『もごもごん』

ぶつぶつぶつぶつ、声がする。


湖畔の街にも夜が来る、やって来る、世界を創造する心によって、世界を想像する心によって。


世界を『そうぞうする心に酔って』おかしくなる、ふふ、神様は世界を創造するのが仕事、赤子でもそれは同じ。


湖畔の街はキョウが何時か創造する世界の『練習台』なのだ。


「ぶつぶつぶつぶつ」


「あらら」


世界を創造する事は容易くても『小屋』を再度建てるの難しいようだ、ふふふふふふふ、脳に『不明な点』が生じている。


自分が壊したのか、誰が壊したのか、そもそもどうして建てたのか、様々な疑問がキョウを苦しめる、忘れる事に特化した生き物故の悩み。


「ぶつぶつぶつぶつ」


「何を言ってるんだろう?」


家の片隅でぶつぶつと座り込みながら呟くキョウ、ぶっちゃけ怖い、かなり怖い、最初は無視しようと思ったけど小屋の件は私の責任でもある。


なので一応の気遣い。


「なになに?」


「キクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタ」


「聞かなきゃ良かったよォ」


「キクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタキクタ」


「近い近い」


肩を掴まれて無表情のキョウに凄まれる、怖いので強制的に引き剥がして距離を置く、エルフの小屋の件で一気にヤバい状態に。


そりゃ想い人のエルフはあいつだ。


気に食わないけどォ。


「うるさい」


「むごぉ」


口を手で覆い隠す、他の女の名前を言うんじゃない。


私の。


俺の名前を言うんだぜ。


言うのよォ。


「むごごごごごごごごごごご」


「……」


「うごごご」


「……」


「んご」


「…」


誰の名前を言ってるかわかんないよォ。


くすん。

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