閑話395・『片付けしつつ美少女殴り』

小屋が壊れた、小屋を壊した。


どっちなのだろうか、小屋の残骸を見詰めながら思う、誰が壊したのか。


さわやかな風と醜い残骸、頬に当たる風は心地よく、視界に入る残骸はあまりに不愉快だ。


どうして不愉快に思うのか、そもそもこの小屋は何だったのか、俺はどうしてこの小屋を建てた?


えるふを、ざーざーざーざーざー、餌がどうした、餌如きがどうした、餌は餌だろうに、お前にとってのエルフはキクタ。


それ以外のエルフは今日の晩飯。


キョウの晩飯。


れれ?


「残骸だぜ、お掃除お掃除」


「あら、捨てちゃうんだ」


「ん?」


麻袋に残骸の破片を放り込んでいるとキョウが何をするわけでも無く腰の辺りで手を組んで問い掛ける、美少女か、美少女だぜ、美少女だなァ。


何の手伝いもしてくれない美少女だぜ?それなら手伝いをしてくれる美少女の方が――――つい睨んでしまう。


うぐぐ。


「怖い怖い」


「ふんっ、景観を保つ為にしてるんだぜ」


「そーゆー美観を気にする感性があったんだねェ」


「あったんだぜ」


「意外だよォ」


「ふへへ、褒めて」


「褒めないよ」


「え」


「働けー働けー」


「うえええ」


「回収しろー」


「うぅ、殴りてぇ」


「ああん?」


「えい」


頬っぺたを軽く引っ張ったく、睨んでいたキョウの顔が驚愕で歪む。


ふん。


「くたばれ」


「こ、このォ」


お掃除一人でするぜ。

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