閑話391・『鼻水鼻血』

血塗れキョウ、そのままでは病気になるよ、きっとならないけど。


矛盾、エルフの血なら肌に付着した時点で『自動』で吸収する、良い生態。


そうだそうだ、そのお陰で服がどれだけ汚れようが全ての血は体に吸収される。


だけどまあ、臭いはねェ、近くにあって川に飛び込んで臭いを落とす、これが原因で獣が寄って来ても面倒だ。


「ぶくぶくぶくぶく」


『しっかり洗いなァ、しかし女の子のお風呂では無くて……獣の水浴びだねこりゃ』


「ぶるぶるぶる」


『錬金術で布を加工して体を拭きなァ』


「自然に乾くぜ、俺はポカポカだから」


『……それもそうか……って風邪を』


「バカだから大丈夫」


『バカでも風邪はひきます』


「え」


件の玩具のエルフは結局美味しく頂いた、目も声も歩く足すら失ってそれでも仕えたいと願っていた。


エルフが主人に尽くす、エルフが……でもまあ、エルフは餌だから、それに尽くすと言われても根本的に理解出来無い。


キョウ、あの小屋はもう取り壊したよォ。


「へぷし」


『あら』


「へぷしへぷし」


『あらあら』


「へぷしへぷしへぷし」


『……くしゃみ』


「ぐしゅ、うん」


『言わんこっちゃ無い』


「じゅるる」


『鼻を啜らない、ちーんしな』


「ちーん、じゅびび」


ハンカチが鼻水塗れになったけど仕方無い、最近は反抗期なので素直に従ってくれると嬉しい。


駄目だ、甘やかしてしまう。


「あ、鼻血」


『……あーもう』


だって子供なんだもん。

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