閑話389・『飼い殺しではなく飼う前殺し』
エルフを捕食するのにエルフに愛される存在であるから色々とややこしい。
そしてキョウ自身もエルフを餌と認識しつつも愛する存在として『キクタ』として――それもまた錯覚。
しかしキクタに向ける愛情が拡散して同じエルフ種に向けられる、そもそもキクタを愛してたからそうなったのかエルフライダーだからそう変異したのか。
「困るぅ」
『おいおい、やめたげな』
「困るぅ」
『はぁ、可哀想でしょう、食べるなら食べる』
こちらの言葉の意図は伝わらずに目の前の存在を蹂躙する、エルフの若者だ、声帯を切られて足首に切れ目を入れられてもう――仕えたいと言えばこの様。
キョウはエルフを飼いたいと確かに口にしていた、しかし今はエルフ『半殺し』にして楽しんでいる、森の奥で、奥の奥の奥の暗く深い場所で。
村から旅立ったばかりのエルフを狂わせて堕落させた。
その村に行きたいのにねェ、声帯を奪ってさ。
欲求が第一なんだね。
「ふふっ」
『もう殺してあげなさい』
「やぁだ」
『どうして?』
舌足らずの口調で血塗れになったエルフを木々に括り付ける、もう逃げる為の足も使い物にならないのに何て無駄な行為。
それなのに快楽で体を捩らせている、既に失った瞳から血が延々と、大地に振り注ぐ雨のように延々と。
雨と違って大地を潤すわけでも無く、失った瞳は飴玉にされている、コロコロ、キョウの口の中。
飴と雨。
眼球飴と血雨。
「キョウの言う事を聞きたくなぁい」
『んなぁ?!』
「それだけ」
『こ、この子はっ』
「それだけだもん、殺さない」
『っ、好きになさい』
「ふふ、あ」
『?』
「し、死んでる」
『ぷぷ』
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