閑話387・『えるふにく』

死屍累々、四肢四肢四肢、もげてはがれて―――実に楽しい。


エルフの肉に噛み付いて、もぐもぐもぐ、色んなお肉があるけど、エルフの肉が一番うまい。


黄昏時、全てが闇に飲み込まれる手前、エルフの村を見付けて良かった、エルフを――――あれれ。


俺はエルフをどうにかしたいんだった、どうにかが思い出せない、どうにも思い出せない、美味しいしかわからない。


『あの小屋無駄になっちゃうねェ』


「もぐもぐ、けぷ」


『ほらほら、落ち着いて食べなぁ―――おバカさん』


「もぐもぐもぐ」


『ふふ』


「もぐもぐもぐ、牛より、豚より、鶏よりエルフがうまい」


『全部殺してさァ、あの小屋は良いのォ』


「こや?」


『太もも』


「ふともも……エルフの太ももはうまいぞ、少し焼いてもうまい」


『だから注意したのにィ、可愛そうな子』


「?」


夕焼けと血の色が混ざりあって世界はほぼ赤色で構成される、赤色、オレンジ、落ち着く、心が安らぐ。


しかも建物が炎の名残に『いじめられていて』赤く燃えている、炭化しているので少しだけ、これもまた落ち着く。


血を見ていると落ち着く。


夕日を見ていると落ち着く。


火を見ていると落ち着く。


エルフを食べていると落ち着く。


落ち着く。


小屋?


太もも?


えるふ。


「えるふのふとももうまい」


『ちぇ、私の太ももに夢中だったのにィ』


「うまうま」


『すぐに浮気しちゃうんだから』


ん?うしとかに?

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