閑話385・『とんてんかんの良さ2』

とんてんかん、小屋を拡張しているキョウの赤らんだ顔を見詰めながら小さく溜息。


エルフは飼わせない、飼わせないにしろそのサイズの小屋はどうなのだろうか?


どうして拡張してるんだろう。


「なにか?」


「いや、どうして拡張してるのかなーって」


「飼ってるエルフに子供産まれたら困るだろ?」


「……エルフを飼ってもいないのにもう子供の話してるよォ」


「ほっとけ」


「………まあ、好きにしな」


「う、うん」


私が促すように顎を動かすと作業を再開する、木槌が振るわれる、型に押し込む様にして形成される小屋。


釘が無いから仕方無いねェ、具現化すればよいのに―――願えば何でも叶うのに。


しかしキョウの鼻歌可愛いなァ。


「とんてんかーん」


「鼻歌可愛いよ」


「作業中に口説かないでくれるか?」


「作業中に可愛い事をしないでねェ」


「うっ」


「ふふ、ほらほら」


「とんてんかーん」


「おバカで可愛いっ」


「?」


褒めつつ罵っているのだけど前者にも後者にも気付かずに不思議そうにこちらを見上げる。


まさにおバカで可愛い。


「とんてんかーん」


「―――」


「とんてんかーん」


「―――」


「とん……もうっ!あっち行って!」


「眼福かつ耳が幸せだよ」


伝わら無いけどねェ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る