閑話384・『とんてんかんの良さ』
とんてんかん、小屋を拡張していると妙な視線を感じる、キョウだ。
罵るわけでもバカにするわけでも無くこちらを観察している、両腕を組んで見詰めている。
「なにか?」
「いや、どうして拡張してるのかなーって」
「飼ってるエルフに子供産まれたら困るだろ?」
「……エルフを飼ってもいないのにもう子供の話してるよォ」
「ほっとけ」
「………まあ、好きにしな」
「う、うん」
もっと嫌味を言われるかと思ったら意外に会話はすぐに打ち切られる、違和感に首を傾げつつ木槌を振るう、この世界で鉄を生成するのは無理なので仕方無い。
望めば具現化出来るのだろうがそれでは小屋そのものを『最初』から具現化すれば良い、それでは労働の意味も愛情も無くなってしまう。
飼い主の愛情を示す作業。
「とんてんかーん」
「鼻歌可愛いよ」
「作業中に口説かないでくれるか?」
「作業中に可愛い事をしないでねェ」
「うっ」
「ふふ、ほらほら」
「とんてんかーん」
「おバカで可愛いっ」
「?」
作業の邪魔になるので何処かに行って欲しいけどそれを口にしたら不機嫌になりそうだ、面倒なのでそのまま放置する。
エルフって一回に何匹産むんだろう?祟木の知識を――――まあいいや。
飼えばわかる。
「とんてんかーん」
「―――」
「とんてんかーん」
「―――」
「とん……もうっ!あっち行って!」
「眼福かつ耳が幸せだよ」
意味がわからないぜっ。
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