閑話382・『ん?2』
小さな背中が見える、何を企んでいるのか?
背中越しに見える小屋がその理由を明確に告げている。
エルフを飼いたいの?丘の上に出来たソレに溜息を吐き出す。
吐き捨てる。
「出来たぜ」
「……姿が見えないと思えばこんな所でっ」
「ひぃ」
「そんなに怯えられると純粋に傷付くんだけどォ」
「ま、また小屋を壊して太ももっ」
「落ち着きなさい」
ぺしっ、頭を強く叩く、微妙に痛く無いように気遣いをしつつ―――振り向く少女、涙目のソレはまだ子供と言っても良い年齢なのに妙な色気がある。
胸の幅の肩から肩までの外側で着る独特の修道服は一切の穢れの無い純白、グロリアやと同じ修道服、ベールの下から見える金糸と銀糸に塗れた美しい髪。
太陽の光を鮮やかに反射する二重色、黄金と白銀が夜空の星のように煌めいている、見る者を魅了するような美しい髪、瞳の色は右は黒色だがその奥に黄金の螺旋が幾重にも描かれている。
黄金と漆黒、左だけが青と緑の半々に溶け合ったトルマリンを思わせる色彩をしている、全体的に線が細くて儚げな少女、シスターである事は疑いようが無いがシスターの枠に収まるような個性でも無い。
私のキョウ、しかし視線が何処までもキツイ。
え、私を疑ってる?
「ん?何だかイラッてしたよォ」
「気のせいだぜ」
「……しかしまた、小屋を……」
「お前もまた太ももを……」
「黙ってねェ」
「いてててててててて、耳が千切れるっ」
「全く、壊しはしないよ」
「え」
「どうしたのォ?」
ふともも?
エルフは?
え?
「ん?」
「な、なぁに?」
「ん?壊して良いぜ」
「は?」
「ん?」
ん?
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