閑話380・『エルフ飼いライダー2』

「エルフを飼いたい?」


「いや、エルフって何を考えてるのか、飼ったらわかるだろ?」


「駄目、うちにはキクタがいます」


エルフを飼いたいとエルフを食べる生き物が口にする、その矛盾に呆れながらも冷たく突き放す。


そもそも育ててもどうせ腹の中に―――エルフを知りたいだ何て、おろかしいこと。


獅子が鹿の飼育をするか?


「飼いたい」


「だぁめ、お世話出来無いでしょう」


「ちゃんとする」


「翌日にはお腹の中だよォ、ペットでは無く家畜なら良いけどォ」


「い、嫌だぜ、飼う」


「じゃあ駄目」


「か」


「絶対にダメ、餌に対してどうした?頭おかしくなっちゃった?」


「え、エルフは」


「えーさ」


「うぅ」


「餌だ、諦めなァ、キクタは違うけどね、あいつはエルフにしては『上等』だ」


キクタの事は大嫌いだけど認めている部分もある、そもそもエルフライダーの能力で何度も改造されて純粋にエルフとは言いにくい。


化け物、しかしキョウは納得出来ずにお行儀悪く舌打ちする。


「チッ」


「あらら、舌打ちしても駄目」


「うぅうう」


「餌が少し懐いたからって『どんな生き物』か観察したくなるんだなんて滑稽」


振り向いたキョウは何処までも無表情で。


何処までも酷薄に。


突き離す。


「そんなに飼いたいなら飼えばァ?私もエルフライダー、食べちゃうよソレ」


モグモグしちゃうよ。

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