閑話379・『太もも小屋2』

湖畔の街でとんてんかん、細工も施しとんてんかん、青空に音が響き渡る。


エルフ用の小屋をキョウが製作している、無駄に腕は良いので中々の代物だ。


だけどサイズが大型犬のソレ、キョウの中でエルフがどのような存在なのかわかる。


「そ、それは」


「エルフ小屋」


「………えい」


「あぁ!?」


粗末な材料だけど丹精込めて製作した小屋を問答無用で蹴り壊す。


足を大きく振り上げた瞬間にキョウが瞳を輝かせて叫ぶ。


そんなに見たいなら自分のを見れば良いのに。


同じだからねェ。


「太ももっ」


「いや、それよりも小屋を惜しみなよ」


「こ、小屋が……俺の太ももが」


「本音が汚い」


「男の本音は何時だってこんな感じだぜっ」


「えいえい、念入りに壊しておくよ」


犬小屋サイズなので容易く壊れる、粉砕したソレをさらに踵で踏み潰す。


その度にキョウが瞳を輝かせる、ああ、ウザったい。


もう。


「うぅうう、太もも」


「何を惜しんでるのォ、小屋でしょ?」


「触らせてくれ」


「ええい、うっとおしい」


蹴る、蹴る、蹴る、蹴る。


キョウはその度に瞳を輝かせる―――――――――――困った子。


エルフをこの街に連れ込むだなんて。


許さない。


「学んだぜ」


「多分それ違う」


私達だけの街なのに。

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