閑話375・『なおすなおす、素直に直す、なおすなおす2』

同じベッドで同じ肉体を持つ同じ精神が並んでいる。


うとうと、微睡みの手前、夢うつつの手前――――少しの白濁した時間。


「飼いたい」


「食べたいと言いなさい」


「飼いたいっ!」


「うちには狐とウサギがいるでしょうに」


「どっちも肉親だぜっ?!」


またその話かとややきつめの口調で突き放す、だけど声高に叫ぶキョウ。


耳がキーンってするよォ。


「食費が掛かるでしょうに」


「お、俺が用意する」


「ぷぷ、エルフが何を食べるか知ってるのォ」


「う」


「知識が無いのに飼っても可哀想なだけだよォ」


エルフライダーとしてでは無く一般的な家庭を想像して抑え込む、一般論の方がわかりやすいよね。


四肢を蛇のようにして絡み付かせる。


四つの鎌首を震わせて獲物を捕らえる。


「ばーか」


「うるせーぜ、知識なら祟木のが」


「ばーか」


「う」


「ばーかばーかばーか、ぷぷ」


「お、俺はバカじゃないもん」


「ごめんごめん、不貞腐れるキョウが可愛くて」


「ふん」


「餌は餌なのに固執して、変な病気にでもなっちゃった?」


「……」


「頭弄ろうか?」


直してあげる、治してあげる。


何時だって。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る