閑話367・『コロコロころころす』

「ぽんぽん痛い、けぷぅ」


『……食べ過ぎだけどエルフだから今回は大目に見るよォ』


まるで捕食し過ぎた蛙のように白いお腹を膨らませて藁のベッドの上に転がっているキョウ。


エルフの集落を襲って一匹残らずお腹に――――精神は安定している、お腹だけが安定していない。


久しぶりだからって食べ過ぎ、でもいいこと♪


「吐きそう」


『我慢なさい』


「美少女のボテ腹かぁ、けぷぅ、需要があるぜ」


『中身がエルフの死骸だと知ったら大概は逃げるよ』


「チッ」


『真実だからねェ』


お腹一杯でやる事が無いのかコロンと転がっているキョウ、消化の速いエルフだから数時間でこのお腹ともおさらばだ。


しかしアジトにしている山小屋に戻るのも億劫で一部達にここまで運ばせた、こんな見た目なので御神輿みたいになってたし。


「けぷぷ」


『割と醜い』


「嘘だろ、今日も可愛いねって言え」


『キョウは可愛いねェ』


「ん?」


コロコロ、立ち上がろうとするがバランス的に無理なようでベッドの上を転がる事になる。


そう、別の意味で可愛い……こう、マスコット的な可愛さと言えば良いのか?


お腹を叩きたい。


「エルフ美味しかったなァ、また食べたいなァ」


『そう』


「どうしてあんなに美味しいんだろう、何かヤバい成分でも入ってるのかな」


『天然由来のものだよ』


「ぷぷ、なにそれ」


『体に良いって意味だよ』


「え、こんなにお腹一杯で苦しいのに体に良いわけねーぜ」


『何処から突っ込めば良いのか―――困った子』


「?」


そこが好きだよ。

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