閑話365・『怨歌2』
転寝をしていたらキョウが何とも言えない歌を口ずさみながら近付いて来る。
全身が震える、何とも言えない独特のリズムだ、歌詞も歌詞で―――耳が崩れ落ちるような。
「エルフを食べよう~、体に良いエルフ~」
「どうしたキョウ、変な歌を口ずさんで……脳味噌がおかしくなったか」
「酷い!?き、キョウの為を思って考えたのに」
「お、俺の事を考えてそんな不気味な歌を――」
「え」
「……呪いたいのか」
警戒しつつ後ろに下がる、狭い室内では逃げ場はない、全身に何とも言えない緊張感。
エルフを捕食する歌?軽快なリズムとそれはどうなんだって歌詞がキョウの愛らしい口から紡がれる。
だからそれはどうなんだっ。
「不気味とは失礼なァ」
「もう一回歌ってみ?」
「エルフを食べよう~、体に良いエルフ~」
「ひぃ」
涙目になって後ずさる、歌は下手では無い、曲調と歌詞に問題がありまくりだ。
聞いてるとエルフを食いたくなる所か食いたく無くなる。
おえ。
「に、逃げないでよォ」
「な、なんかエルフの怨念を感じるぜ」
「あー」
涙目になって壁際に背を預ける、キョウは笑顔で頬を寄せて来る。
重なる頬、高まる恐怖。
「エルフを食べる気になったァ?」
「うぅ」
「食べる気になったァ?」
「食べます、食べます」
「………何か違うなァ」
「ひぅ、その歌止めてェ」
すげぇ不快っ。
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