閑話360・『くんかくんか星人2』

蚊に刺された太ももを乱暴に掻いていたらジト目で睨んで来るキョウと目が合った。


呆れている、いやいや、痒いから掻いているだけだぜ?


何もおかしい所はねーぜ。


「色っぽさの欠片も無いよォ」


「あん?」


自分自身に色っぽく無いと断言されてやや不機嫌になるが良く考えたら自分自身だから関係ねーぜ?


でも何だかムカつく、声にして叫ぶ。


「蚊にさされたー」


「聞いたよ」


「蚊に刺された!」


「声が五月蠅いっ」


「この場合は五月蚊なのか?ハエなのか蚊なのか」


「―――ハエだよ」


「ちぇ」


ととととととと、ご機嫌な足取りでキョウに近付く、そのままソファーの上にいるキョウに飛び込む。


柔らかい感触と甘い香り、ミルクのような匂い、お日様の香り、複雑なそれを胸一杯に吸い込む。


ん?同じようにキョウが俺の匂いを嗅いでいる。


「何してんだぜ?」


「き、キョウの香りを楽しもうと」


「キモッ」


「あははは、キモくて結構」


抱き締めたまま首元の匂いを嗅ぐキョウ、すげぇやだ、すげぇエッチな感じがする。


やだやだ。


ひんひん。


「もっと嫌がれェ」


「ひいぃいいいい、か、嗅ぐんじゃないぜ」


「ん、汗の臭い、ちょい臭いよ」


「ひん」


さ、最悪だぜ。


お風呂入るっ。

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