閑話352・『君を救いたいうまい』

男は筋っぽいけど噛み応えがあって美味しい。


女は柔らかいけどやや油っぽい、でも美味しい。


「両方美味しいぜ」


『……そう、まあ、食べ過ぎは良く無いよ』


俺がした事では無い、悲鳴を聞いて駆け付けた時には既に全てが終わっていた、魔物に襲われた冒険者たち。


素敵なパーティーは俺の食事に成り下がるのです、つんつん、取り敢えず足先で突いて生きていないか確認する。


こいつらを殺した魔物は既に俺のお腹の中である。


「太っちゃうからな」


『……え』


「食べ過ぎちゃうと太っちゃうからな」


『き、キョウの口からそんな言葉が……嘘でしょ?』


「俺も女の子だからな」


全ての死体を足先で突く、みんな死んでいる、まだ死臭もしない、生命の息遣いの名残が暗い森の中に広がる、俺の食欲を刺激する良い匂い。


良い臭い?ん?


「生きてる」


みんな死んでいると思ったら微かに息のある少女、職業はなんだろう、見た目からは判断し難い―――マイナー職か?


皆が護るように覆い被さっているのは彼女が一番年若いからだろう、泣ける、年若いって事は肉柔らかいって事だよ。


年若いって事は肉柔らかいって事だよ。


年若いって事は肉柔らかいって事だよ。


泣ける。


年若いって事は肉柔らかいって事だよ。


年若いって事は肉柔らかいって事だよ。


泣ける。


年若いって事は肉柔らかいって事だよ。


年若いって事は肉柔らかいって事だよ。


泣ける。


年若いって事は肉柔らかいって事だよ。


年若いって事は肉柔らかいって事だよ。


うまい。


ぐしゃぐしゃ、ぐしゃ、みししししし。


「うみゃあああああああああ」


『ふふ』


「死んでる」


あれ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る