閑話351・『獣かわいや2』

俺の世話をする私がいる、おれのせわをするわたし。


思考は短絡化される、思想は掻き消される、残るのは獣としての本性。


床に転がってキョウを誘うとすぐに―――――簡単な奴、ホントに。


可愛い奴。


「んなー」


「…………この、この、この」


「んなあああああ」


お腹を見せて転がっていたら乱暴にお腹を撫でられる、最初は気持ち良かったが何処か性的なものを感じて手で振り払う。


キョウは手を振りながら涙目になる、面白いのでそのまま追い掛ける。


「いたたたた」


「ふっふっふっ」


短い呼吸と素早い動作、キョウの視線を完全に支配する―――逃げ切るはずも無い。


どーーん、そのまま押し倒して肩に『前足』を置いて固定する。


おれのがつおい。


ほめろ。


「ま、負けましたァ」


「なぁ」


「よしよし」


「♪」


「負けを認めると後はご機嫌か……わかりやすい娘」


「んな」


ぺしぺしぺし、頭を撫でてくるのでお返しとばかりオデコを叩く、先程と違って痛く無いように。


見下す、こいつは俺より弱い。


舐める。


弱い。


弱い。


「ぺろぺろ」


「うひゃあ」


「?」


「……死ぬ、私はここで死ぬんだ」


ブツブツと何かを言っている。


死ね。


がるる。

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