閑話348・『甘えろバカ2』
「灰色狐に甘えてしまったァ?」
「―――言うな」
咳き込みつつ胸元をゆるめる、どうしてだろう、口にする事でも無いのにキョウに相談してしまう。
最初は頷いていたキョウも話が後半になると前のめりに……一部の前でもグロリアの前でも強がってしまう。
キョウの前だと素直になれる、だけどからかわれるのは御免だぜ。
故に殴る、からかうと殴る。
「言ったら殴る」
「えぇぇ?別に母親なんだから甘えてもおかしくないでしょうに」
「えい」
ぽかっ、力無い腕がキョウの頭に突き刺さる、エルフライダーの能力の酷使による疲労で身体機能は著しく低下している。
何度か叩く、ぽかぽかぽか、俺と違って大事な脳味噌なので故障するのはヤバい。
でも叩いちゃう。
「可愛い~、反抗期だね」
「はぁ?!」
「だってそうじゃん」
「ち、違うぜ、か、家族でも」
「百パーセントそうじゃん」
「う、うっさいな」
「くふふ、甘えられる内に甘えときなよ」
「………」
「真っ赤にしちゃって可愛いなァ」
「す、少し弱ってて弱気になっただけだぜ」
「へえ、じゃあ今も?」
キョウが詰め寄るのでお尻をモジモジさせて後ずさる、真剣な表情をしている。
弱気になれば誰かに甘える、弱れば誰かの世話がいる。
でもそれは自分自身では無い。
「か、顔が近いぜ」
「元々は一つだから関係無いでしょ」
「うぅ」
「ねえ、条件は同じでしょ?私に甘えろよ」
無理。
無理。
無理?
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