閑話346・『ポカポカ理由2』

キョウが寒そうにしている、虚空を見詰めながら赤くなった頬を両手でムニムニしている。


状況確認?ああ、エルフをもっと食べないとっ。


「ああぁぁ、可哀想に、儂の可愛いキョウ」


「か、可哀想なのか可愛いのかどっちだぜ」


「キョウ、キョウ」


「ねえ、聞いて?」


儂が抱き付くと戸惑いながらキョウが笑う、そのまま頭を撫でてくれる―――耳が折れる、気持ち良い。


儂の全てを容易にへし折る愛らしさ、体調の悪そうなキョウを見て鼻を啜る。


何も出来無い儂、それが辛い。


「すんすん」


「ほら、ちーん」


「ちーん」


「鳴くのは良いけど泣くのは勘弁な、辛いぜ」


「じゅる、きょう」


「もう一回ちーん」


「ちーん」


ベッドの上で我が子に注意される、逆転した関係性も儂たち特有のもの。


二人だけが親子、それ以外は有象無象―――二人で完結してれば良い。


鼻を鳴らす。


「すんすん」


「まったく、可愛い奴め」


「か、可愛い娘め」


「俺は男だぜ」


「ふふ、そうかの」


「そうだぜ」


抱き締められる、ウトウトとしたキョウの顔。


ああ、落ち着いたかの?


「ポカポカする」


「ね、熱が」


「ちげーよ」


儂もポカポカする。


不思議。

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