閑話333・『ニキビたん2』

「うーん、ニキビ出来た」


「ホントだ、つんつん」


「酷くなるから止めてェ」


前にも同じような事があったかなぁ、シスターである事に誇りは無いがグロリアやクロリアや炎水と同じである事にはこだわりがある。


髪質とかは仕方無いけどこーゆーのはなぁ、落ち込んでいるとキョウが覗き込んでくる。


気恥ずかしい。


「頬っぺたに出来てて可愛い」


「ニキビやだなぁ」


「どうして?」


「うーん、グロリアと違うから?クロリアとも炎水とも違う、キョロとも」


「そりゃ他のシスターは変化に乏しいからねェ」


「みんなと同じが良い」


「だったら拾い食い止めなよ、つん」


ポチっ、何だかそんな効果音がしたと思うと視界が歪む。


目線が一気に下がり軽く電光が走る、麒麟の姿になったと自覚しつつ頬をつんつんする、ニキビ消えて無い。


神獣にニキビか、俗物だぜェ。


「変化したぜ」


「え、ニキビじゃなくてボタンなのコレ」


「わかんないぜ」


麒麟の何処か几帳面さを感じさせる芯のある幼い声も砕けた口調で喋ると年相応のものに聞こえる。


ん?それだと俺の方が精神年齢が下って事になるな?うぅ。


「ポチっ」


「あう」


ぽん、次は影不意ちゃんの姿に変化する、何時も何処か栄養素の足りない太陽を知らないようなガラス細工の肌、そこにニキビ。


影不意ちゃんは清潔整然清楚なので何だか似合わない。


「これ、ボタンだ」


「ニキビだぜ」


「ポチっ、ポチっ、ポチっ」


「あう」


ぽん、ぽん、ぽん――――――見事に三回変化。


「これ、ボタンだぜ」


「でしょ?」


嘘だろオイ。

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